第五回
おいしい味をめざして
今回は「美味しい味」についてです。
食品をつくる人にとって、お客様に認めてもらえる味にできるかどうかが成功するかしないかの重要なファクターです。
味覚といいますと、幼少の頃に食べたものが影響して、その人の好きな味というものが決まるそうです。 そういえばそうですね、「あの人は辛いのが好き」や「あの人は辛いのが嫌い」など、味覚というのは人それぞれです。すべての人が美味しいという食べ物はないといっても過言ではありません。 日本人の主食であるお米などはたいていの人が美味しいと感じますがそれでも100%ではないのです。
味覚というのは音楽の好みといっしょでその人の好みがあるわけです。
私はおいしい紀州梅干をつくることばかりを考えています。
そこでみなさん「この梅干美味しい!」と言ってもらえるような味に仕上げたいのですがこれが難問です。
何をどうすればどんな味になるか・・こんなことはとうの昔に心得たのですが、だからといってみなさんに美味しいと言ってもらえる紀州梅干をつくることはできませんでした。
味覚は人それぞれ・・・私は結局3種類の味を出すことでその点をカバーしたわけです。
はちみつ梅、味梅、本格しそ漬け梅、甘い梅干からの順番になっています。本格しそ漬けは酸味、塩味も程々の梅干で、私の一番好きな味付けです。といいますか成人以上の男性はほぼこの味付けが好みと言います。 逆にはちみつ梅は甘酸っぱくて女性、子供に人気です。 その中間的な味が味梅です。 おもしろいでしょう、人それぞれだけでなく、男性、女性、年齢でも好みがわかれるわけです。
そこで、甘い紀州梅干、すっぱさがそこそこの紀州梅干、すっぱい紀州梅干と分けて、それぞれの紀州梅干を他社の紀州梅干より美味しくしようとこだわってつくっているわけなんです。
さらに、美味しい食べ物の要素には視覚、嗅覚が強く作用します。 「美しくておいしそう、香りもいい、口に入れると味もいい!!これはおいしい!!」 見た目と香りがおいしいと判断する上で強く作用するのです。 さらに味覚には先入観がとても強く働きます。
「これ、有名店の梅干だから食べてみて」と言われて食べるのと、何も言われずに食べるのとでは、先のほうが美味しいと感じてしまいます。
このようにいろんな要素が絡み合って人は食べ物を判断しているわけです。
紀州梅干の作り手として、なんだか何をどうしたらいいのかわからなくなってくるときがあります。 まだまだ・・どんなときも自分に100点をつけずに、さらに腕を磨いていこうと思っている今日この頃です。
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